誰よりも映画を愛した男の物語「ニュー・シネマ・パラダイス」レビュー

ドラマ
Cinema Paradiso | ‘Longing’ (HD) – Philippe Noiret, Salvatore Cascio | MIRAMAX

作品・出演者情報

監督

ジュゼッペ・トルナトーレ

キャスト

  • サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(少年期) – サルヴァトーレ・カシオ
  • サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(青年期) – マルコ・レオナルディ
  • サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(中年期) – ジャック・ペラン
  • アルフレッド – フィリップ・ノワレ
  • エレナ – アニェーゼ・ナーノ

個人的レビュー

数ある映画作品の中でも「不朽の名作」として名高い「ニューシネマパラダイス」。

恥ずかしながら今回初めて鑑賞したが、もっと早く見ておけばよかったと悔しい気持ちが強かった。

いつか見よう、いつか見ようと先延ばしにしてしまっていたのが悔やまれる。。

形容し難い感情なのだが、絶対に見たいと思っている作品って見るまでの心の準備に時間がかかってしまうのは私だけだろうか?

遠足の前日に眠れなくなるような、明日が早くきてほしいはずなのに、なんだか来てほしくないあの気持ち。それがニューシネマパラダイスを見る前の私には強かったのだ。

作品のあらすじは、中年映画監督の少年時代の回想として、映画が大好きなシチリアの村の少年トトが、村の映画館で映写技師を務めているアルフレッドとの日々を通して成長していくというものだ。

至ってシンプルな軸だが、描き方が秀逸なのでいろいろな感情が溢れてくる。

本作のタイトルである「ニューシネマパラダイス」は、村にあった「シネマパラダイス」という映画館が焼失してしまったために再建されたものだ。

この焼失の理由は、アルフレッドの粋な計らいで映画館に入りきれなかった人々にも楽しんでもらおうとしてのアクシデントだった。

アルフレッドは口には出さないが、村で唯一の映写技師を務めていることを誇りに思っていたのだろう。トトに映写技師の仕事を諦めるように説得する際も、否定する論調から結局は仕事への誇りの話になっていく。村で必要とされる仕事であり、トトがそれに熱狂的な興味を持ってくれていることが嬉しかったのだ。

トト自身も、映写技師への憧れはずっと続いていた。宗教上の理由で切り取られていた色気シーンのフィルムを、アルフレッドにねだっては断られる日々。最終的には、「トトにフィルムはやるが、管理はアルフレッドが行う」という条件をつけられてしまう。アルフレッドが意地悪にも見えるが、トトはまだ子供だったから与えなかったとも取れる。

これが最終的に、とても素晴らしい感動シーンを生むことになるのだ。少年の日の思い出が鮮やかに蘇るので、ぜひ作品で確認してみてほしい。きっと全員泣く。

この作品を通して当時の映画が庶民にとってどのような存在だったのかを理解できるが、現代の日本の映画館のように静かに鑑賞するというものではなかったことがわかる。

映画は人々のコミュニケーションの中心であり、その中心にあったのがシネマパラダイスだった。市民の憩いの場であり、出会いの場でもあったのだ。

その一方で、村という閉ざされた世界の唯一の娯楽という狭さもある。アルフレッドはトトの将来を案じ、もっと外の世界に目を向けるように促す。トトは自分と違って勉強もできる。だからこそ、その映画への熱狂をこんな小さな村の映写技師だけで終えてほしくなかったのだ。親よりも近くでトト見てきたからこそ、村を出てローマで自分の好きなものを追い続けろと強く訴えた。

トトにとってアルフレッドは年の離れた友人であり、人生の師であった。この辺はマイ・インターンにも似た関係性だ。彼らは互いを必要とし、補完しあっている。

アルフレッドにとっても、トトと過ごした日々はかけがえのないものだっただろう。単調な仕事にスパイスが効いていたし、子供のいないアルフレッドにとっては我が子同然の存在だったのだ。

もし自分がアルフレッドの立場だったら、トトに村を出て帰ってくるなと伝えられるだろうか?

自分の人生の楽しみを大幅に失っても、他人の将来を信じ、道を示すことはできるだろうか?

トトへの親心であり友情でもあるアルフレッドの心情は、きっと25歳独身の私にはまだ理解しきれない。10年後にもう一度振り返った時、私自身が何を思うのか楽しみだ。

一方で、15歳の私にもこの作品を見せたかった。学校に通い、人生を導いてくれる先生たちに囲まれていたあの思春期にしか感じられないことがあったのではないかと思う。

いつか自分の子供ができたら、こうした名作は早めに見せてあげたい。その時しか感じられない気持ちを大切にしてもらいたい。

良かった点

ストーリーはもちろん、序盤と終盤を綺麗に繋ぐ構成には感嘆した。

いわゆる伏線というものだが、そのいやらしさが全く感じられないほど綺麗な展開である。

ニューシネマパラダイスが名作と言われるのは、この巧みな構成にあることは間違いない。

また、作中の音楽がとても美しい。つい先日亡くなってしまった映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネの代表曲ともいえるCinema Paradisoは、聴けば誰もがわかる名曲だ。本作品の舞台であるシチリアの片田舎の哀愁をよく表現している。映画音楽がこれほどまでに効果的に作用している作品も珍しい。きっとラストシーンでCinema Paradisoが流れたら、全員泣くだろう。

残念だった点

完全版も見てみたい。それ以外何も残念なところはない。

唯一あるのは、教師の虐待シーンや子供の喫煙シーンがあるから金曜ロードショーとかでは流すことが出来ないのかな。。という点。多くの人に見てもらいたい作品だが、地上波では無理なのかな。

終わりに

ここまで綺麗な映画は珍しい。作品を鑑賞し終えた時、澄み切った心と濁りのない涙を体感してもらえればと思う。

コメント

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