名経営者がいい人間とは限らない「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」レビュー

ドラマ
マクドナルドはこうして生まれた!『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』特別映像&予告編

作品・出演者情報

監督

ジョン・リー・ハンコック

キャスト

  • レイ・クロック – マイケル・キートン
  • リチャード・J・マクドナルド(ディック) – ニック・オファーマン
  • モーリス・マクドナルド(マック)- ジョン・キャロル・リンチ
  • ジョアン・スミス – リンダ・カーデリーニ
  • ハリー・J・ソネンボーン – B・J・ノヴァク
  • エセル・クロック – ローラ・ダーン
  • フレッド・ターナー – ジャスティン・ランデル・ブルック
  • ジューン・マルティーノ – ケイト・ニーランド
  • ロリー・スミス – パトリック・ウィルソン
  • ジム・ジエン – グリフ・ファースト
  • ジェリー・カレン – ウィルバー・フィッツジェラルド
  • ジャック・ホーフォード – デヴィッド・デ・ヴリーズ

個人的レビュー

ミルクシェイク用ミキサーのセールスマンだったレイ・クロックが、マクドナルド兄弟と出会い、彼らのハンバーガー店を世界最大のファーストフードチェーン店に成長させていく物語。

個人的には非常に面白い映画だったと思う。しかし、見る人によっては「なんだこのクズ人間は……!」と思うかもしれない。

世界の有名な経営者にはサイコパスが多いと言われているが、例に漏れずレイ・クロックもそんな人間だ。自分の利益の最大化のために、契約を破ったり献身的に支えてくれた妻と離婚したり。

欲望に忠実に生きる姿は、見る人によっては怒りを覚えるだろう。そして、もう二度とマクドナルドでハンバーガーを買うものか!と思うはずだ。

私は人間の汚い部分が非常に好きなので、こうした欲望にまみれた人間の物語はとても興味を持って見てしまう。ファイト・クラブも同じような匂いがして好きな作品だが、本作はさらにリアルな欲望が描かれていて痛快だ。

レイ・クロックは非常な人間だと思われるかもしれないが、見方を変えれば成り上がることに異常なまでの執念を持って生きているとも言える。

作品中での描かれ方を見れば、セールスマンとして日の目を浴びず、多くの人に小馬鹿にされてきた人生だった。もちろん収入はそこそこで、中流階級の住居を手にしてはいたが、50歳をすぎてもなお満たされなかったのは彼のワークライフバランスが仕事に全振りしていたからであろう。

こんなに頑張っているのに、なぜうまくいかないのか。そんな気持ちを抱えながらずっと生きてきたのだ。

一人のビジネスマンとしてこの作品と向き合うと、レイ・クロックの姿勢は大変参考になる。

マクドナルドという田舎のハンバーガー店を偶然見つけ、そのシステムに感銘を受けた彼は、フランチャイズ化を狙って何度もアプローチをする。良いと感じたものに執念深く食らいつき、どうにかして口説き落とすそのスキルはなかなか貴重だ。

長く社会人生活を送っていても身につくとは限らない。まあ、それがサイコパスという言葉で片付けられたりするのだが。

レイ・クロックはマクドナルドを次々とフランチャイズ化していく中で、強力な味方をつけていく。若手の有能な社員を重宝し、不動産知識がある人間とタッグを組んでビジネスを確かなものにしていく。人たらしの一面を持ち合わせているが、それは自分の利益になるかどうかで冷静にジャッジしているのだ。

マクドナルド兄弟が自分の思い通りの許可を出さなくなれば、どうにかして排除する方法を考える。彼らがいなければ0→1は生まれなかったのに、終盤ではかなりぞんざいに扱っている。

しかし、個人的にはこの辺をうまく調整できる人間だったら今のマクドナルドの世界的な普及はないと思う。時に非情な選択をできるからこそ、ビジネスは大きくなっていくのだ。

ちなみに、ユニクロの柳井さんもレイのことを称賛しているので、ビジネス界の重鎮たちはみんな同じような考え方をしているのかもしれない。

個人的には、お金持ちになりたいという気持ちはあるが、人の心を忘れないようにしたいなとも思う。この辺のバランスが取れている経営者って世界にいるのかな?

興味があるので、少し調べてみようと思う。

作品を通して描かれているレイ・クロックのセンスについて、個人的に一番すごいと思ったのは「マクドナルド」の名前の響きを大切にしていたことだ。ブランドイメージを作り上げる上で、ネーミングのセンスは欠かせない。

ちなみに、日本にマクドナルドを持ち込んだ藤田田も「マクドナルド」の表記にはこだわりがあったそうだ。このセンスは商才の一つとして考えてもいいだろう。

ブランドイメージという点で言えば、その影響は就職活動などでも顕著に現れる。特にスタートアップやベンチャー企業の場合、無駄にかっこいい名前をつけたがる。中二病っぽいケースもあって、個人的にはそういった会社は名前だけで弾いていた。他の人に伝える時に恥ずかしい名前だと嫌なのだ。所属する企業名は、口に出してかっこいいものであってほしい。少なくともそういった気持ちを持っている人は多いはずだ。

どうやってそのセンスを磨いていけばいいのかは正直わからない。しかし、自分の気持ちに正直になれば、自ずと正解は見えてくるだろう。

賛否両論ありそうな作品であったが、ビジネスマンとしてこの作品に向き合うと色々な学びがあって楽しかった。

良かった点

配役が非常に良かった。

視覚的にわかりやすい配役で、主人公のレイ・クロックはどこか悪そうな印象を持つし、マクドナルド兄弟は兄が温厚で、弟が頭の切れる印象を見た目でつけている。

これもビジネスマンとしては勉強になるポイントで、悲しいかな人は見た目でだいたいの能力が判断できてしまうのだ。

そんなことない、と思うかもしれないが、有能なコンサルタントはデキるオーラがすごいし、クリエイティブな人間は外見にその個性が表現されている。

見た目を気にしないなんてのは全くの嘘であるというのを、この作品を通して学べるのではないだろうか。

残念だった点

もう少しだけ、レイ・クロックをいい人として描く方法があったのではないかと思う。

個人的には、序盤のセールスマンの失敗続きの描写が弱かったのかなと思う。あのシーンでもう少しダメージを受けていれば、見る側の同情を引き、手段を選ばず突き進む姿にも共感できたのに、と思ってしまった。

終わりに

賛否両論ある作品だと思うが、個人的には好きだ。

もしあなたがビジネスマンなら、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」も見てもらいたい。イカれた天才から学べることは多い。ぜひ。

コメント

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